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高松高等裁判所 平成3年(ネ)391号 判決 1992年4月30日

主文

原判決主文第一項を取り消す。

控訴人らの本件訴えを却下する。

訴訟費用は第一、二審とも控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。控訴人らが被控訴人の檀徒の地位にあることを確認する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張は原判決事実摘示のとおりであり、証拠関係は本件記録中の証拠目録記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決に「檀徒」とあるのをいずれも「檀徒」と訂正する。)。

理由

控訴人らは被控訴人寺の檀徒であったが、昭和六三年七月二三日付けで被控訴人により檀徒を除名されたことは当事者間に争いがなく、原審証人吉岡寿男の証言によって真正に成立したものと認められる乙第二ないし第六号証、第八号証(ただし、第五、第六及び第八号証については官署作成部分につき成立に争いがない。)によると、右除名処分は、控訴人らが長年にわたり被控訴人寺の住職中村龍光を中傷することによって被控訴人寺の威信を傷つけ、維持運営を妨害したという内部規律違反によるものであるところ、右除名の結果、控訴人らは被控訴人寺の檀徒としての地位を失い、同寺内部においての宗教活動ができなくなることが認められる。

しかしながら、檀徒は単なる宗教団体内の地位にすぎず、それ以上の法律関係を含むものとは認められないから、本件除名処分の効力の有無の紛争は、具体的な権利又は法律関係に関する紛争ということはできない。

よって、本件訴えは不適法として却下すべきものであるから、右請求を棄却した原判決を取り消し、右訴えを却下し、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

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